呑酸・胸焼けとは
食道に胃液や胃の内容物が逆流すると、胸のあたりに焼けるような不快な感じがする胸焼けが生じます。また、酸っぱい液体が口まで上がり、ゲップが出る「呑酸（どんさん）」と呼ばれる症状もよく見られます。症状がひどい場合は、吐いてしまうこともあります。
呑酸・胸焼け放置して大丈夫？
胸焼けで睡眠中に目覚める場合は、注意が必要です。これは狭心症や食道がんの症状として現れることがあります。制酸薬を服用していたとしても、検査を受けた結果、実際は別の疾患が見つかることもあります。心疾患や消化器疾患が進行している場合でも、胸やみぞおち周辺に痛みや違和感を覚えることがあります。さらに、胃酸の逆流が続くとバレット食道を発症するリスクも高まります。バレット食道は将来的に食道がんへ進展する可能性があり、重大な問題となります。そのため、症状を放置せずに早期に適切な検査を受け、適切な鑑別診断を行うことが重要です。
呑酸・胸焼けの原因
呑酸・胸焼けの原因として、胃酸が食道に逆流することが挙げられます。胃酸は胃の消化液であり、消化を助けるために必要なものですが、食道に逆流すると食道粘膜を刺激し、不快な症状を引き起こします。脂っこい食事や香辛料など刺激的な食事、過食、食道がん、食道狭窄、胃の機能障害、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ヘルニア、肥満、妊娠などが原因になります。
呑酸・胸焼けの症状？どんな感じがする？
- 口に酸っぱい液体が上がってくる
- 食道や喉に違和感を覚える
- ゲップが出やすくなる
- 喉や口の中が酸っぱい味になる
- 胸が焼けるような感じがする
- 食後に症状が悪化する
- 喉の奥（食道の奥）が痛む
- 吐き気や嘔吐する
など
呑酸・胸焼けの検査
逆流性食道炎が原因とされる胸焼けの症状を確認するためには、胃カメラ検査が行われます。この検査により、食道粘膜の状態が詳細に観察され、必要に応じて組織採取による確定診断も可能です。当院では鎮静剤を使用し、患者さんがウトウトした状態で楽に検査を受けられるよう配慮していますので、安心してご相談ください。医師による丁寧な診断と適切な治療が行われます。
呑酸・胸焼けの治療
呑酸・胸焼け自体は、胃酸を抑える薬などの薬物療法で多くの場合は改善されますが、原因となる疾患がある場合は、その治療も同時に行う必要があります。
治療方法は、原因となる疾患によって異なります。例えば、胃食道逆流症が原因の場合は、生活習慣や肥満などの環境要因を整えることが重要となります。そのため、生活習慣の指導なども行われることがあります。
薬物療法
呑酸・胸焼けの薬物療法には、主に胃酸の分泌を抑える薬と胃酸を中和する薬が使用されます。これらの薬は胃酸が食道に逆流することによる胸焼けの症状を和らげる目的で使われます。
| 薬剤名 | 作用 | |
|---|---|---|
| プロトンポンプ阻害薬（PPI） | オメプラゾール、ランソプラゾール、パンプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール | 胃の酸分泌を抑制することで、胃酸の量を減少させます。PPIは胃壁に存在するプロトンポンプという酵素を阻害することで、酸の分泌を抑えます。効果は強力で持続時間も長いため、一般的に重症の逆流性食道炎や胸焼けに使用されます。 |
| H2ブロッカー（H2受容体拮抗薬） | シメチジン、ランソプラゾール、ファモチジン、ニザチジン | 胃壁にあるH2受容体に結合し、胃酸分泌を抑制します。PPIに比べて効果が弱いため、軽度な胸焼けや胃の不快感に使われることが多いです。 |
| 制酸剤 | アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミニウムヒドロキシド、マグネシウムヒドロキシド、カルシウムカーボネート | 胃酸を中和することによって、胃の酸性を軽減します。効果は一時的で持続時間が短いため、胸焼けの軽度な症状に使用されることがあります。 |